【教育ボランティア導入授業】災害看護Ⅱ
授業の概要
- 日時:2010年12月10日(木)
- 対象学生:4年生・編入4年生
- 教育ボランティア参加者:13名
- 担当教員・職員:11名
今年は状況設定を地震災害から大型バスの転覆事故に変更し、学生はトリアージ施行者、トリアージアシスタントを、住民ボランティアさんに被災者役を演じてもらうことにより、実際に近い状況下でトリアージを体験することをねらいとしました。
学生にとって、実際に近い設定でトリアージを実施することで、理論的に理解していたトリアージであったが、実際になると冷静に判断することのむずかしさを実感すると同時に、住民ボランティアさんの意見や感想を聞き、不安が大きい被災者への声かけやしっかりと、確実に観察することの重要性を実感できました。
住民ボランティアさんに演じてもらうシナリオは、生命の危機的状況(赤色)から比較的軽症(緑色)まで幅広い設定とし、事前にシナリオについての状況説明と演技のポイントを個別に説明しました。演技のポイントを説明すると、「そんな風にできるかな。」と少し不安そうな表情をされたり、血ノリを見て「本物そっくり」と驚かれていましたが、演習開始前の時間を使ってそれぞれの方が役作りをされ、演習本番では実際の被災者になりきって演技をされていました。また、今回は学生と一緒にトリアージの判定結果とその評価を聞いて頂いたので、なぜ、自分が赤色なのか、黄色と緑色の違いなどについて関心を持たれている様子もありました。
演習終了後のまとめの時間では、以下のような感想やご意見を頂きました。
- もっと、重症の設定でもよい(メイクや服装も大幅にアレンジするような設定)
- 自分の演じ方が良かったのか、悪かったのか…。トリアージ判定結果が緑から赤色まで分かれた。
- 下肢に外傷がある設定だったが、下肢を出したままでいると寒かった。(→演習の途中から、使い捨てカイロを使用して頂いた。)
- 脈拍や体温を聞かれても言いにくい。→前年のようにテープに数値を記入し、それを見せる方法も検討する。
- 聴覚障がい者を演じてみて、学生さんがしゃべれないことに気がついてくれて、その後一生懸命に筆談をしてくれたので心強かった。安心した。
- 「早くして!」と言ったら、ある学生さんが「少しお待ち下さい。必ず、トリアージするものが来ますので。」と対応してくれた。一人ぼっちにされるのではないかと不安だったので、あの一言は安心できた。
- トリアージをしている間、ずっと手を握っていてくれる学生がいた。とても、安心できた。
- 頭のケガをしている部分を手で抑えていたら、外観だけを見てそれ以上観察しようとしない学生がいた。ケガをした部位の観察は重要だと思うので、ぜひ見てほしい。
以上の内容から、住民さんにとっては、トリアージのねらいや判定結果の意味を知ることができたこと、また演じ方によってトリアージ判定が変わることや、聴覚障がいをもつ人の立場にたってみてわかる心細さという新たな発見があり、被災者役の幅を広げたことや住民ボランティアさんの人数を増やしたことにより、一定の成果があったことが分かりました。
次年度は、住民ボランティアさんにもう少し重症のシナリオを演じて頂くことも含めて検討したいと思います。
授業の様子