研修「外国人の在宅療養サービス利用と意思決定支援を学ぶ」を開催しました。
2023年1月9日(月・祝)13時~17時に「外国人の在宅療養サービス利用と意思決定支援を学ぶ」の研修をZOOMによるオンラインで開催しました。
国際都市神戸は全国でも定住外国人が多い都市であり、港町の開港以前からの長期滞在の方から定住期間が短い方など背景も様々で多様化しています。近年では定住外国人の高齢者化が顕著で在宅サービスを利用している外国人の方も増えています。しかし、在宅療養を支えるためのサポートはコミュニケーションや文化の違いなど様々な困難が課題とされています。
今回の研修では阪神・淡路大震災以来、長田地区を中心に定住外国人の支援に取り組む「神戸定住外国人支援センター(KFC)」のケアマネジャーの呼和徳力根(フフ デルゲル)さんと、「訪問看護ステーションはれ」の所長である山根香代子さんに在宅療養支援の現状を、そして神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科の相原洋子さんに「外国人の在宅療養に向けた課題」をご講演いただきました。
定住外国人高齢者は、自分の思いを伝えられなかったり理解に時間がかかるケースも多く、孤立したり関わりをあきらめてしまうこともあります。支援は言葉や文化だけではなく、歴史的背景への理解や認知症などの疾患への対応能力が必要になります。通訳者は介護等の経験があると、外国人の療養者の信頼が得られやすい等、人材育成等への意見もありました。
研修は訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、医療介護サポートセンターなど多数の施設からご参加いただきました。「お国柄の文化がわかるエピソードが印象に残った。」「相手をいかに理解するか、気づきが大切で支援の基本を再確認した。」などの感想をいただきました。さらに今回の内容を発展させた研修会の希望も聞かれました。また、近畿圏は、定住外国人に占める高齢者割合が他の地域より多いことを相原さんがデータを示して説明され、神戸市の今後の課題であることに気づく機会になりました。
山根さんの講演テーマにあった「人とのつながりの中でほおっておけなくなった」という言葉は、定住外国人との共生社会実現の基盤となるかもしれません。身近な周りからつながりをひろげて支援の力をつけていきたいですね。
なお、本研修は、神戸市健康局からの事業委託を受けて実施したものです。
写真:呼和徳力根さんの講演の様子
写真:講演者の呼和さん、山根さん、相原さんと本学南学長とのディスカッションの様子