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COVID-19 禍における神戸市内訪問看護事業所現状調査結果の公開について

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    神戸市看護大学が2021年12月から2022年1月にかけて行った,「COVID-19禍における神戸市内訪問看護事業所現状調査結果」がまとまりましたので報告いたします。

    コロナ第6波直前に,調査へご回答くださいました,訪問看護事業所の管理者の皆様,本当にありがとうございました。

    調査結果の概要は報告書の3頁になります。主な内容は下記のとおりです。


    1. 回答状況について

    235件に調査票を送付し,回収票80件(回収率34.0%)でした。

    1. 神戸市内訪問看護事業所の規模について

    小規模事業所と中規模事業所との2極化があり,またリハビリテーション職の常勤換算人数が看護職常勤換算数よりも多く占める事業所が一定数ありました。また,非常勤看護職が常勤看護職より高い割合の事業所が多くを占める可能性があります。

    1. COVID-19禍の神戸市高齢自宅療養者等訪問業務等健康管理支援事業(支援事業)の引き受けについて

    平時に訪問看護を提供している利用者や事業所従事者への感染の危険性を避ける為に,限られた看護師が感染者等の訪問を実施していると考えられました。その人的余裕のなさが,臨時の支援事業に対応できないことにつながっていることが推測できます。

    支援事業を引き受けることができる事業所の背景は,専門職常勤換算人数,看護職常勤換算人数が多い,看護師常勤人数が5 人以上の機能強化型届け出があることから,マンパワーの余裕が予測できました。開設年次が早いこと,区内訪問看護事業所連絡会に参加していることも関連していることから,引き受けた事業所は事業所運営の経験が豊富でその地区で協働・連携を築いていると思われます。

    1. BCP策定状況について

    BCP 策定が「完成した」事業所がまだ2 割以下であり,また自然災害時のBCP や研修・訓練はCOVID-19 のそれと比べると完成や実施が少ない傾向にあります。BCP 策定等の業務継続に向けた取り組みが促進するような支援が必要であることとともに,神戸市が新興感染症や自然災害時に訪問看護事業所と連携をとり支援事業等の引き受けを期待しているのであれば,マンパワー確保等を想定したBCP策定を依頼していくことも重要であると考えます。

    1. 神戸市内の連携状態について

    神戸市内では区単位で,保健センター,事業所と医師会との連携が整ってきているところがあることが推測できました。

    1. 地域包括ケアシステムの状況について

    地域包括ケアシステムにおいて,神戸市内に訪問看護事業所が増加してきているが,必要な人の利用状況や一般の人の認知度を鑑みると,必ずしも地域包括ケアシステムとして望ましい状況ではありません。在宅医療資源としての訪問看護事業所を増やすだけでなく,看取りを含む対応や病院における退院調整の充実といった,実効性のある在宅医療体制の整備が重要と思われます。

    在宅看取りや緩和ケアの診療所に関して,その不足や在宅看取りや緩和ケアの診療所への集中的負担,また在宅療養支援診療所を掲げていても,外来中は看取り等の対応ができなかったり,医師により方針が異なる等の状況が示されています。在宅看取りや在宅緩和ケアを円滑に提供できるようにするために,訪問看護は、ケアマネジャーのその体験や能力によって、自身の役割を調整していることが推測できます.多職種連携は円滑に進められていますが,COVID-19により対面での連携が難しくなっています。また,退院調整の不十分さにより在宅療養を開始してから様々な問題が生じていることが示されています。地域包括ケアシステムの推進のために,現状を踏まえた実効性のある在宅医療体制の整備が必要です。

    1. 外国人への訪問看護の提供状況について

    41件(51.3%)は外国人の利用者または介護者への訪問看護を提供していました。訪問看護を受けている外国人の出身国は外国人住民数と関連していると考えられます。したがって,訪問看護に限ることではないが,住民数の多い国籍に対応した在宅ヘルスケアを講じる必要があります。

    1. 退院調整や多職種連携におけるICTの活用状況について

    退院調整や多職種連携をする際に必要なICTを活用している事業所の特徴として,「機能強化型届け出あり,経営状態が黒字,区医療介護サポートセンター研修・会議に参加している」でした。市内でも須磨区,垂水区,西区の方が,他の地区よりもICTを活用できている回答の割合が多いです。経済的な余裕はICTに関わるツールの購入につながっていると推測できました.また,区医療介護サポートセンターはオンラインを活用した研修・会議を行っているので,参加することでICTの活用機会が増えている可能性があります。


    【調査体制】 神戸市看護大学いちかんダイバーシティ看護開発センター在宅ケア支援グループのうち,以下が調査班メンバーです。本調査は,神戸市看護大学が神戸市健康局から委託を受けて実施しました。

     

    研究代表者

    神戸市看護大学在宅看護学分野 教授 片倉直子

    共同研究者

    神戸市看護大学在宅看護学分野 准教授 丸尾智実

    神戸市看護大学在宅看護学分野 講師 宇多みどり

    神戸市看護大学在宅看護学分野 助教 大瓦直子

    元神戸市看護大学いちかんダイバーシティ看護開発センター 専門教員 苫田ひとみ


    「2021COVID-19禍における神戸市訪問看護事業所調査報告書」は下記よりダウンロードください。

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